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何れ菖蒲か杜若のあとがき

2018/6/27:初稿

ちょっと遅くなりました(4年)が、KarenTでの配信がスタートしたので、動画や曲についての解説・雑文を残しておきます。

コンセプト

散々書いている通り、「和風×エレクトロハウス」の融合です。
これは色々掘り下げ甲斐があると思っていて、実はもう一曲オケだけほぼ完成して未公開の曲がずっと眠っています。 歌詞を書くのが難しいんだなこれが。

イラスト

この動画のイラストは商業の世界でも活躍なさっている七原しえさんにお願いしました。
七原さんのイラストはこの当時以前から知っていて、機会があればぜひお願いしたいと思っていたところでうまくそれらしい曲ができた、と言う感じです。

歌詞

この曲を作るにあたって歌詞を古語で書くことは当初から考えていたのですが、これがとにかく難しい。
ニコニコ動画のコメントにちょこちょこと書いてくれている人がいるのだけど、簡単にまとめると「ボンボンのイケメンニートが美女2名をナンパし、『どちらか一人を選ぶことなどできない』などとのたまったためにフラれて傷心の旅に出る」といった感じ。なんだそれ。

で、このとき歌詞を書くのに使ったのがこの本。

河出書房『現代語から古語を引く 現古辞典』
出版社サイト

文庫版Amazonリンク

この本にはある現代語に対して、類似の意味を持つ古語とその古語が使われている古典の例文が示されています。
実際のところ、その古典の例文を切り貼りしてなんとか形に持っていった感は否めない。

歌詞で出てくる単語で言うと、例えば「美人」を引くと「くはしめ」「うるはしきをとめ」、「だらしない」を引くと「しどけなし」「おほとる」といった具合。
単語によって類語の数が全然違うのも面白くて、例えば上で挙げた「美人」の意味で使われている古語は12種類も載っている。
辞典と言うには単語数は少なめだが読む分にはちょうどいい塩梅で、読み物としても結構面白いのでおすすめ。

あと、古語で歌詞を書こうと思っている人がいたら、詞先で作ることをお勧めします。
メロ先だと、現代語で考えてから古語に変換する段階でモーラ数が変わってしんどいです。

サウンド

実はこの曲がLogic Proを使って作った最後のVOCALOID曲です。 Logic ProがXになったときにすごく重くなってしまって嫌気がさし、これ以降色々と散財するのですが、それはまた別のお話。

お気に入りのポイントは、2回目のハーフステップのAメロから間奏で合いの手が入るあたり。 結構間奏インパクトあるよねこの曲。

小ネタ

配信にあたって英語名を登録する必要があるのですが、菖蒲と杜若をわざわざ区別するのは日本ぐらいのものらしく、どっちを翻訳しても「Japanese iris」にしかならないので困りました。
意訳ではなく比喩の表現をそのまま翻訳したかったのですが、適切な訳ができず、結局「Izure Ayameka Kakitsubata」とローマ字で登録することに。
誰か妙案があったら教えてください。

小ネタ2

この曲の読みは「いずれあやめかかきつばた」ではなく「いれあやめかかきつばた」。